フランス料理博物館 プレジール・ドゥ・ラ・ターブル

Vol.67 2014年6月


フランス料理博物館 plaisir de la table

(プレジール・ドゥ・ラ・ターブル)は、

試行錯誤をくり返しながら、内容の充実に取り組んでおります。

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今月は”人参”のお話です。

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人参
英語の名前は、カロット carrot、それは栄養素カロテン
(カロチン)に由来しています。
ニンジンは原産地のアフガニスタン周辺で東西に分岐し、
世界各地に伝播しました。
オランダを通りイギリスへと西方へ伝来しながら改良が
行われた西洋系と中国を経て東方へと伝わった東洋系
二種類に分類されます。
東洋系は細長く、西洋系は太く短いのですが、ともに
古くから薬や食用として栽培されてきました。

日本への伝来は16世紀で、この頃は葉も根と同様に食用と
していましたが、明治時代以降では、一般に根のみ
食べるようになりました。
現在でも地域によっては、間引きのため抜去された株が
葉を食べる商品として出荷されることがあります。
日本で江戸時代に栽培されていた品種は東洋系が主流でしたが、
栽培の難しさから生産量が減少し、現在では西洋系品種が
主流になっています。

なお、一般に薬草として用いられているオタネニンジン
(朝鮮人参・高麗人参とも)はウコギ科の植物であり、
植物分類学上ニンジンとは異なる植物であります。

東洋系ニンジン
中国で改良された東洋系のニンジンは、16世紀に日本
伝えられ、全国各地で作られるようになりました。
赤色の金時ニンジンを筆頭に、甘味が強くてニンジン特有の
臭みが少なく、煮ても形が崩れにくいので和風の料理に
重宝されます。
なかでも京料理では比較的多く用いられることから
金時ニンジンは「京人参」とも呼ばれ、京野菜のひとつに
数えられています。
しかし、栽培しにくいことがネックとなり、第二次世界大戦後
西洋系ニンジンが主流
となってきています。
正月料理用などとして、現在でも晩秋から冬にかけて市場に
出回わりますが、栽培量が少ないため、この季節以外では
手に入りにくいのが現状です。
この他沖縄県の伝統野菜のひとつで黄色い島ニンジンまたは
チデークニーと呼ばれる品種や、アフガニスタン原産の
黒人参などが東洋系に含まれます。

西洋系ニンジン
西洋系ニンジンは、オランダやフランスで改良がすすみ、
江戸時代末期に日本に伝来した。
主にオレンジ色をしており、甘味もカロチンも豊富に含んでいる。
五寸ニンジンが一般的な品種で、ちょうど五寸(15〜20cm)ぐらいの
長さ
で、金時ニンジンなどと比べて太めなのが特徴です。

かつての品種は特有のニンジン臭が強く、子供の嫌う野菜の
筆頭格でしたが、品種改良により最近では臭いも薄くなりました。
全国の気候に応じた品種が栽培されていて、1年中市場に
出回っていますが、ニンジン本来の旬は9月頃から12月頃です。

ニンジンの嫌いなお子様が多いようです。
そこで今日はニンジンのデザートを作ってみましょう。


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ニンジンのプディング

 材料 直径8cm位のティカップ 4〜5個分
 ・ニンジン(果肉の赤いもの、皮を取り除く) 200g
 ・卵 1個
 ・バター 25g
 ・砂糖 80g
 ・牛乳 80cc
 ・生クリーム 80cc
 ・バニラエッセンス
 ・カラメル
  −砂糖 75g
  −水+微温湯 45cc+45cc

 作り方

 1 まずカラメルを作ります。
   水45ccと砂糖を鍋に入れて火に掛け、カラメル色に
   焦がして火から下ろし、残りの微温湯45ccを
   加えます。わーっと湯気が噴きあがりますから、
   顔を近ずけないで下さい。
   熱い内にティーカップに流し入れて冷やします。

 2 ニンジンは5mm位の厚さに切り、バター25g、
   水大匙1杯と共に陶器の丼に入れラップでおおい、
   5分間ほど電子レンジにかけて柔らかくし、
   牛乳、砂糖と共にフードプロセッサーにかけ、
   更に卵を入れてさっと混ぜます。
   ボールに取り出して生クリーム、バニラエッセンスを
   加えます。

 3 これを、カラメルを流し入れたカップに等分に入れ、
   それぞれのカップをラップでおおい蒸し器に並べます。
   蒸気が上がってきたら弱火にして15分間ほど蒸します。

 4 冷ましてから冷蔵庫で、充分に冷やしてお召し上がり
   下さい。
   熱いまま召し上がって頂いても美味しいです。


 *飾りに、ニンジンを小さく切って、水200cc、
  砂糖40gと共に煮て、飾るとアクセントになり、
  引き立ちます。

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☆ お知らせ

 ムッシュ米津の家庭料理のページでは
 『人参のグラッセ』
 作り方をご紹介しています。

 http://www.plaisirdelatable.jp/cooking/index.html

 フランス料理で使用しているのは、西洋系のニンジンで、
 甘味もカロチンも豊富に含んでいます。
 工夫すれば、お子さんたちにも喜ばれると思います。

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 フランス料理に役立つ「フランス料理の食材・機材」では、
 料理に使っていただきたい最高の食材と機材をリンクで
 ご紹介しております。

 http://www.plaisirdelatable.jp/food/index.html

 今月は『サワラ(鰆)』『栗ペースト』
 ご紹介しております。

こちらのコーナーも、ぜひご活用ください。

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