フランス料理博物館 plaisir de la table (プレジール・ドゥ・ラ・ターブル)は、 試行錯誤をくり返しながら、内容の充実に取り組んでおります。
さて今回はグラタンのお話をしましょう。
グラタン(仏: gratin)は、元来、鍋の底の 「お焦げ」のことを指します。 このことから、オーブンなどで料理の表面を 焦がすように調理した料理の名称となりました。 フランスではドフィネ地方の郷土料理に、 ジャガ芋、生クリーム、グリュイエールチーズを 使って、オーブン焼きしたグラタンがあります。 日本で一般的に知られている洋食のグラタンは、 ベシャメルソースと具(魚介類、肉、野菜、マカロニ、 米、コンビーフなど)を絡めて、耐熱皿に盛り、 チーズをかけて器ごとオーブンで焼いた料理です。 そこで良く混同されるのがコキールです。 コキールは貝殻の事です。 ちょっと乾いたような感覚の白くて、大きな 帆立貝の殻が、料理を盛りソースをかけて グラタンにするのにちょうど手頃なので、 グラタン用の器に使われており、 コキール=グラタンと呼ばれていますが、 冷たい料理でも貝殻に盛ると、コキールと 呼びます。 オニオングラタンスープは、玉葱をあめ色に なるまで炒めます。コンソメを注ぎ、 耐熱カップに入れてフランスパンを一切れ浮かべ、 グリュイエールチーズをふりかけてオーブンで 焼いたもので、スープ・グラティネと呼ばれます。 寒い季節になると、フランスでは家庭や屋台でも 大人気なものです。 グラタンと云えば、ドリア (Doria) は、米を使った 料理のひとつで、ピラフなどの上に、海老、カニ、 ビーフなどをのせ、ベシャメルソース(ホワイトソース) をかけてオーブンで焼いた料理ですね。 その発祥は、日本の横浜、1926年(大正15年)7月に 開業した横浜ホテルニューグランドの初代総料理長、 サリー・ワイルが創作した料理で、米飯に芝エビの クリーム煮をのせ、チーズをかけてオーブンで焼き 上げたものが現在のドリアの始まりと云われております。 このドリアとは別に、イタリアの貴族・ドリア一族の ためにパリのレストランが創作した、イタリア国旗の 三色にちなんでトマト、キュウリ、鶏卵などの材料を 使って作られた料理もあり、フランス料理では通常 「ドリア風」といった場合、キュウリを添えることを 意味します。 フランス料理には、 トゥールヴィル(Tourville) と 云う料理があります。 グラタン皿にリゾット(バターとスープで煮た米)を敷き、 中央に、オマール海老、マッシュルーム、かき、ムール貝、 トリュフの薄切りをおき、グラタン用の白ソースをかけ、 チーズを振りかけて焼き色をつけて仕上げます。 サリー・ワイルド氏はこの料理からヒントを得て、 ドリアを考案したのではないでしょうか。 それでは、家庭風にアレンジした ドフィネ風ポテトのグラタンを作ってみましょう
◇ドフィネ風ポテトのグラタン 材料 4人前
作り方 1 平鍋に牛乳を300cc入れます。 ポテトの皮をむいて、縦四つ割りにして、 厚さ3mm位に切り、牛乳を入れた鍋の中に 落とします。 ポテトを水にさらすとでんぷん質が流出 するからです。 2 鍋を火にかけ、煮立ったら弱火にして、 ふたをし、時々そっと混ぜながら、 6〜7分間煮ます。 まだ少しかたい位で火を止め、残りの 牛乳を加え、塩、胡椒をします。 3 にんにくを半割りにして、その断面を グラタン皿の内側にこすりつけて、 香りをしみこませます。 その中に牛乳で煮たジャガ芋を流し入れ、 チーズを一面に振りかけます。 4 220℃〜230℃のオーブンに入れ、 ポテトが柔らかくなり、表面にこんがり 焼き色が付けば出来上がりです。
☆ お知らせ ムッシュ米津の家庭料理のページでは 『米茄子と海老のグラタン』の作り方を ご紹介しています。 http://www.plaisirdelatable.jp/cooking/index.html オーブンの上手な使い方を参考にして、 グラタンを上手に焼き上げてみてください
フランス料理に役立つ「フランス料理の食材・機材」では、 料理に使っていただきたい最高の食材と機材をリンクで ご紹介しております。 http://www.plaisirdelatable.jp/food/index.html 今月は『バドワ(微発泡水)』と『サラダほうれん草』を ご紹介しております。 こちらのコーナーも、ぜひご活用ください。
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