フランス料理博物館 プレジール・ドゥ・ラ・ターブル

Vol.51 2013年2月


フランス料理博物館 plaisir de la table

(プレジール・ドゥ・ラ・ターブル)は、

試行錯誤をくり返しながら、内容の充実に取り組んでおります。

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今回は、クレープのお話しをしましょう。

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■クレープ 仏語 Crepe/パンケーキ 英語 Pancake

クレープ本来の意味は、織物のクレープ、チジミの事です。
小麦粉などを水や牛乳で溶いてフライパンや鉄板に
薄くのばして焼いたもので、その表面が織物に似ている為に
クレープと呼ばれる様になりました。

厚く焼いてホットケーキの様なものなど、世界中に多くの
ヴァリエーションがあります。
今も地方のクレープは薄いとは限りません。
小麦粉のほか、そば粉、ジャガ芋の裏漉ししたもの、
とうもろこし粉を用い、甘み、塩味の材料を挟んで食べます。
ブルターニュ地方のクレープは、小麦粉、そば粉を使って作り、
有塩バターをのせ、シードル(リンゴ果汁の発泡性醗酵酒)と
共に食べます。

カソリック教の祝日、2月2日が
ラ・シャンドルール 聖母お潔めの日」です。
けがれなきろうそく、すなわちシャンデルは、モーゼの語る
ところによれば、イエス・キリストがイエルサレムの教会に
姿をあらわしたことを記念してともされています。
ローマ時代には、異教の祭りである牧神祭がこの日に祝われ
ました。
492年に法王聖ゲラシウス(在位492−496年)がこの祭りを
シャンドルールの儀式」に替えてしまいました。
この祝日は、冬の厳しさと春への期待という丁度移り変わりの
ときに行われることから、小麦粉(新しい小麦を招きよせる
ために古い小麦が用いられた)を使った食事を特徴としました。
特にクレープが作られ、地方によっては揚げ物(ベニエ)フルーツ
ジャムなどを詰めたものが食されます。
料理のジャンルでも、日本の天麩羅に似た食感から、ベニエは
良く作られます。
この習慣はひじょうに古いもので、14世紀に出版された
パリ女大学」には、これを美味しく作るには、生地が
薄くても、濃くてもいけない」という一節があります。
迷信がこれに加わり、コインを手に握りながら、たんすの上まで
はねあげて(焼いている生地を)かえすのが習慣となりました。
うまくかえせたら幸運に恵まれると云われ、フランスでは
クレープを焼く時に、片手にルイドール(金貨)を持ち、
もう片方の手にフライパンを持ってクレープを上手に焼く
ことが出来たら、その年は幸運が訪れると云います。
また、クレープを上手に焼く娘は、家事の切り盛りがうまいから、
嫁に迎えると良いなどと云われます。

ナポレオンはロシア遠征に出発する前に、同じようにクレープを
はねあげてみたが失敗したという話がラルース料理百科事典
載っています。
パリの街角で、どこやらの地方の派手な衣装をつけた人が、
直径30cmくらいの丸い鉄板でクレープを焼いています。
そばの看板には、グランマルニエ(オレンジのリキュール酒)、
ショコラ(チョコレート)、ヴァニーユ(バニラ)、
コンフィテュウール(ジャム)と書いて、それぞれ値段が
記されています。
大人も子供も、クレープの上に好きなものを塗ってもらい、
小さく折りたたみ、紙にくるんで熱いのをふうふう吹きながら
食べるのです。
フランス人はクレープが大好きで、デザートだけでなく、
塩味に焼き上げて、料理にも使います。
料理の修業時代の懐かしいパリの想い出です。

楽しいおしゃべりも。おもてなしです。

3月は、入学、結婚いろいろなお祝い事の集まりがあると
思います。
ご家族、友人が集まってお食事をするとき、いつも
作る側の方はほとんど皆様と一緒に食事の出来ない事が
多いですね。 そこで、ご自分も一緒に楽しめるクレープパーティ
なさっては如何ですか。
集まった方々は、ご自分でクレープを焼き、
お好みのものを添えて召し上がって頂くのです。
お飲み物は、皆様お好きなものをご持参頂きましょう。

クレープというと甘いデザートのイメージがありますが、
砂糖とラム酒の代わりに、塩と刻みパセリを入れて、
塩味のクレープにすると、色々なお料理に使えます。
また、そば粉入りのクレープも素朴な味が楽しめます。

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用意する道具
・卓上コンロ
・直径20〜24cmのフッ素樹脂加工したフライパン
・生地をすくうお玉杓子
・ティッシュペーパー
・サラダオイル
・フライ返し
・竹串
・取り皿等

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砂糖入りクレープ

 材料(直径20〜24cmのフライパンで15〜16枚分)
 ・牛乳 400cc
 ・全卵 2個
 ・サラダ油 大匙2杯
 ・小麦粉 150g
 ・砂糖 15g
 ・ラム酒 小匙1〜2杯(任意)

 作り方

 1 ふるいにかけた小麦粉と砂糖をボールに入れます。

 2 別に牛乳、卵、サラダ油を混ぜ合わせ、
   これを粉のボールに少しずつ混ぜ込みます。

 3 均一に混ざったら一度漉し、ラム酒を加え、
   冷蔵庫で30分ほど休ませます。

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塩味のクレープ

 材料(直径20〜24cmのフライパンで15〜16枚分)
 ・牛乳 400cc
 ・全卵 2個
 ・サラダ油 大匙2杯
 ・小麦粉 150g
 ・塩 ひとつまみ
 ・刻みパセリ 大匙1杯

 作り方

 1 砂糖入りクレープとと同じ手順で作ります。
   砂糖とラム酒はの代わり、塩と刻みパセリを入れます。

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そば粉入り塩味のクレ−プ

 材料(直径20〜24cmのフライパンで15〜16枚分)
 ・牛乳 400cc
 ・全卵 2個
 ・サラダ油 大匙2杯
 ・薄力粉 100g
 ・そば粉 50g
 ・塩 ひとつまみ
 ・刻みパセリ 大匙1杯

 作り方

 1 ふるいにかけた小麦粉とそば粉をボールに入れます。

 2 別に牛乳、卵、サラダ油を混ぜ合わせ、
   これを粉のボールに少しずつ混ぜ込みます。

 3 均一に混ざったら一度漉し、刻みパセリを加え、
   冷蔵庫で30分ほど休ませます。

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クレープの焼き方(三種類それぞれ同じ方法です)

 1 フライパンを火に掛け、ティッシュペーパーに
   サラダ油をしみ込ませ、フライパンの表面に油をぬり、
   クレープ生地を薄く一面に流します。

 2 フライ返しか竹串を使って裏返し、両面を焼いて
   お皿に取ります。

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デザートとしてのクレープは、食べやすく切ったフルーツ、
ホイップクリーム、お好みのジャム、チョコレートソース、
グラニュー糖にバニラかレモンのエッセンス
等を
クレープに塗って、お召し上がり下さい
アイスクリームを添えると、より楽しくなります。

甘いものばかりではという方にお勧めは
スモークサーモン巻き
 塩味のクレープを広げ、スモークサーモンをのせ、
 ケッパー(ふうちょうそうの蕾の酢漬け)と、
 薄切りにした玉葱ものせ、クルクルッと巻きます。
 櫛形に切ったレモンがあるとなお良いでしょう。
かにと胡瓜のマヨネーズ
 かにの身をほぐして、細切りにした胡瓜と共に
 マヨネーズで和え、クレープにのせて巻きます。

その外にも、お手元にある材料例えば
・薄切りにしたロースハム
・ウインナソーセージ
・ローストビーフ
・オイルサーデン

などに、サニーレタス、ピクルス、オリーブを添えるのも
わるくはないでしょう。

*クレ−プについては
 「フランス料理博物館・おいしく食べる西洋料理」の
 2009年1月「苺のクレープ」の項に詳しく載っています
 のでご覧下さい。

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☆ お知らせ

 ムッシュ米津の家庭料理のページでは
 『スープスパゲティ 茸入りボンゴレ』
 作り方をご紹介しています。

 http://www.plaisirdelatable.jp/cooking/index.html

 今回はロングパスタの代表スパゲッティの中では
 細めのフェデリーニ(1.4mm〜1.5mm)を使った
 茸のボンゴレを紹介しています。


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 フランス料理に役立つ「フランス料理の食材・機材」では、
 料理に使っていただきたい最高の食材と機材をリンクで
 ご紹介しております。

 http://www.plaisirdelatable.jp/food/index.html

 今月は『ホットパック機』『特大いちご美人姫』
 ご紹介しております。

こちらのコーナーも、ぜひご活用ください。

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