フランス料理博物館 plaisir de la table (プレジール・ドゥ・ラ・ターブル)は、 試行錯誤をくり返しながら、内容の充実に取り組んでおります。
フランスパン Pain Francais フランスパンとは、小麦粉・塩・水・イーストのみで 作られるフランスのパリ発祥のパンの総称です。 その中で、バゲットやバタールがよく知られています。 本国フランスでは(pain traditionnel) パン・トラディスィヨネルと呼ばれていましたが、 他国の呼称に倣い(pain francais)パン・フランセとも 呼ばれています。 フランスの植民地だったベトナム、ラオス、カンボジア でも普及していますし、日本でも大いに好まれています。 ただ、本式に作ると時間がかかり、発酵助長剤を添加した ものが多いのが現状です。 フランスパンは、その硬さが大きな特徴です。 基本的に生地には砂糖を使わないため、フランスパンは その片端だけを手に持っても、パンが中折れしないほどの 硬度があります。 英語でクラスト(crust)と呼ばれる外皮部分は、煎餅の ようにパリパリしており、フランスパンの独特の食感と 香りを生み出しています。 また、卵、乳製品、油類などの副材料を使わないのも 特徴であり、それゆえ作り手の技術が味を左右します。 フランスパン作りはパン職人になる上での難関である ともいわれています。 硬く香りのよい外皮部分に比べ、中はやわらかい食感と なっています。 同じ生地・同じオーブンで作ってもバゲットは細長く 皮の部分が多いため、皮のパリパリ感や香りを重視する 人に向き、丸いブールは中身が多く柔らかなパンを 好む人に向いており、バタールはバゲットより太いが、 ブールのようには丸くないのでその中間です。 バゲット、バタール、ブール、パン・ド・カンパーニュ、 シャンピニオン、クッペなどに代表される、いわゆる フランスパンは基本的に材料は小麦粉・パン酵母・塩・ 水・モルトだけで作ります。 他のパンのように砂糖やバター、卵、乳製品、油類などは 加えず、単純な材料のみで作るので、小麦粉と塩と水だけ ではパン酵母の発酵がうまくいかないので、小麦粉の デンプンをモルトが糖化して酵母による発酵を進めます。 パン・ド・カンパーニュなどではライ麦粉も加えます。 家庭で作るときはモルトの代わりに少量の砂糖を入れる ことがあります。 フランスパンに使われる小麦粉は、一般のパンに使われる 強力粉ではなく、グルテンが少なめの準強力粉もしくは 中力粉です。 発酵後、オーブンに入れる直前に生地に剃刀あるいは クープナイフで斜めに切れ込みを入れ、焼きあがる過程で 独特の亀裂が広がった形状になります。 この広がった亀裂を”クープ”といいます。 しかし、プロが使う大きいオーブンならともかく、 家庭用の小さいオーブンではクープがきれいに広がった パンを焼くことは難しいです。 またバゲットなどでは気泡が大小不ぞろいで荒いものが 良いとされるが、これは職人でも難しい技術です。 フランスと違い日本においては「もちもちした食感」の パンが好まれるため、大手パンメーカーが市販する フランスパンは、グルテンの強い小麦素材を使用し、 なおかつグルテンの粘り気を利かせた製法を用いており、 中の食感が「本家」のフランスパンよりも、もちもちして 弾力の強いものとなっています。 それゆえ、おおむね日本大手メーカーで大量生産される フランスパン(特にソフトフランスと銘うって売られて いるもの)は、フランス国内で食されるフランスパンとは まるで食感が異なり、皮も柔らかく、外観こそバタールや パリジャンに似ているが、中身は噛み応えの強い食パンに ほぼ近いものになっています。 バゲットなどをサンドイッチとして使うには、日本では 縦方向に切れ目を入れて具材をはさむのが一般的ですが、 輪切りにした上に具材を乗せることもあります。 オニオンスープには、薄く輪切りにしたフランスパンが 用いられています。 元来フランスでは土壌や気候の関係から、生産される 小麦はグルテンの乏しいものが主であり、他国のパンの ようにふっくらとしたものを作ることが難しかった。 そのためフランスでは粘り気の少ない生地を使っての パン作りが求められ、結果として硬い外皮とサクサクした 中身を持つ独特のパンが生まれたのです。 元々フランスパンはイースト菌のようなパン酵母を 用いず、生地を一度に混ぜて直火焼きしたもので あったため、焼き色は現在のようなキツネ色ではなく うす焦げたものでした。 フランスパンが現在のような形になったのは 19世紀頃で、酵母菌や製粉技術などの向上により この頃から今日見られる多彩なフランスパンが 作られるようになりました。
フランスパンの種類 パン・ド・カンパーニュはラグビーボール型の他、 ブールの形に作られることもあります。 同じくパン・トラディシオネルを使ったパンでも 形や大きさにより名前が違います。 バゲット(baguette) 細めの棒状パン。重さ250g・長さ60〜70cm前後。 プティ・パン(petits pains) 細めの棒状パン。小さめのバゲット。長さ12cm前後。 パリジャン(Parisien) パリっ子。重さ400g・長さ68cm前後と太めの棒状パン。 バタール(batard) 中間のという意味。バゲットとパリジャンの中間の形状。 重さ250g・長さ40cm前後。 パンのフランスパンの製品名にもなっている。 ドゥ・リーブル(deux livres) 2ポンド。太長のパンで重量感がある。 重さ850g・長さ55cm前後。 フルート(flute) 楽器のフルート。形状がフルートのように細長い。 重さ200g・長さ60cm前後。 フィセル(ficelle) 紐。形状が 紐のように細い。 重さ125g・長さ60〜70cm前後。 ブール(boule) 丸、ボール。ボール状の中型パン。 フランス語の「ブーランジュリー(パン屋)」の 語源となっている。 パン・ド・カンパーニュ(pains de campagne) 田舎パン。ラグビーボール状のパン。 大きめに焼かれ、精製度の低い小麦粉を使うことが多い。 シャンピニョン(champignon) マッシュルーム。 上に円形の「頭」がある、きのこ状のパン。 クーペ(coupe) 切られたパン。約20cmの紡錘形。焼成前にナイフで 一本の長い切れ目(クープ)を入れます。 フォンデュ(fendu) 割れたパン。ブールの中央にくびれを入れたパン。 クーペと違いクープは入れない。 パン・オ・セーグル、メテイユ、パン・ド・セーグル セーグル(seigle)はライ麦の意。ライ麦を入れた フランスパン。 ライ麦の配合比率によって名称が違い、記述されて いる順にライ麦が多い。 パン・オ・ルヴァン(pain au levain) 天然酵母(levain)によって発酵熟成されたフランスパン。 クロワッサン(Croissant) 三日月型。日本では生地に砂糖が使われるため、 フランスパンというよりも菓子パンとしての イメージが強い。 ※参考までにパンの種類ごとのクープ(切れ目)の数 バゲット 6〜7本 バタール 3〜4本 ドゥリーヴル 3本 パリジャン 5〜6本 フィセル 3〜4本 フルート 5〜6本 ブール 十字 クーペ 1本
☆ お知らせ ムッシュ米津の家庭料理のページでは 『スープ ボーヌ・ファームとフレンチ・サンドイッチ』の 作り方をご紹介しています。 http://www.plaisirdelatable.jp/cooking/index.html ”スープ・ボーヌ・ファーム”を裏ごしすると、 ”ポタージュ パルマンティエ”それを冷やすと、 ”スープ・ヴィシソワーズ”に。
フランス料理に役立つ「フランス料理の食材・機材」では、 料理に使っていただきたい最高の食材と機材をリンクで ご紹介しております。 http://www.plaisirdelatable.jp/food/index.html 今月は『鱸(すずき)』と『ブルーベリー』を ご紹介しております。 こちらのコーナーも、ぜひご活用ください。
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