フランス料理博物館 プレジール・ドゥ・ラ・ターブル

Vol.39  2012年2月


何時もメールマガジンをご覧頂き、厚く御礼申し上げます。

今年も 試行錯誤 しながら前進したいと思いますので

宜しくお願い申し上げます。

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今日は、前回に続き「」のお話をしましょう。

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◆日々の生活の中の塩 (2)

◆塩の調理

色どめ
 リンゴの皮をむいて、そのまま空気中に放置すると褐色に変化しますが、
 リンゴの中のポリフェノールという物質が、
 空気中の酸素と結合して酸化し褐色になる為です。
 これを防ぐ為には薄い食塩水(0.2%位)につけると効果があります。
 但し、長時間つけると味も香りも落ちます。

ナマス
 食塩を利用して脱水し、次に野菜の中のセンイによる毛細管現象を利用して、
 調味料を吸い込ませる料理法です。浸透圧の作用による調理法です。
 浸透圧とは、水は通すが他のものは通しにくい膜の両側に
 濃度の違う溶液がきた場合、両方の濃度を同じようにしようとして、
 うすいほうから濃いほうへ、水のみが移動する現象を云います。
 この場合、水だけとおる膜を半透膜と呼んでいます。
 ナマスの場合には、外から塩がふられる為、中の水分が細胞膜を通して外に
 吸い出されて脱水が起きます。次に脱水した野菜を良く絞り、
 調味液に浸すと、細かいセンイのすき間を通って急速に調味液が吸収されます。
 これが毛細管現象です。もしこの場合、食塩によって脱水が行われない場合には、
 水をいっぱい含んだ手ぬぐいと同じで、毛細管現象による調味液の吸収が
 行われません。つまり味の良くしみた美味しいナマスを作る事が出来ないのです。

青菜を茹でる
 青物を茹でる時、ひとつまみの塩を加えます。1.5%以上の塩分濃度であれば、
 非常に鮮やかな緑色となり、茹でた後一晩おいても比較的退色が起こりません。

小麦粉をこねる
 小麦粉をこねて粘らせる時には、必ず塩を入れます。
 小麦中に含まれているタンパク質がグルテンとなりその主役をなしています。
 小麦中のタンパク質は始め毛糸の球の様に固まっていますが、
 薄い食塩水を加えると、タンパク質が溶け気味となり、
 そのかたまりがほぐされます。それをこねるとタンパク質分子が
 もつれ合って粘りが出ます。小麦粉中に天然に含まれている
 タンパク質分解酵素や、デンプン分解酵素も作用させて
 タンパク質を良く溶きほぐすには、こねてから30分位寝かす必要があります。

茹で卵・ポーチドエッグ
 卵を茹でる時、水の中に少量の食塩を入れて加熱すると、
 卵のタンパク質の凝固が促進されます。

すり身
 魚のタンパク質は薄い食塩水によって溶ける性質を持っています。
 そこで、少量の食塩水を加えて磨砕すると、タンパク質の繊維が溶けて
 魚肉がどろどろした均一の状態となります。すり身を形にまとめて加熱すると、
 タンパク質が変性して弾力のある固体となります。

焼き魚
 あらかじめ魚に振り塩をします。これは、食塩で魚肉を固め、
 焼いた時に身くずれが起こらないようにするためです。
 振り塩は強い目にする必要があります、少ないと魚肉のタンパク質は
 うすい食塩に可溶であるため身くずれがおきます。
 強い濃度の食塩では、魚肉タンパク質は凝固します。
 また焼く5〜10分前程度に塩をするのが望ましいです。

野菜を柔らかく茹でる
 カリフラワー、ジャガ芋などを茹でる時、
 食塩を用いるとやわらかく仕上がります。これは、食塩が水に加わるために、
 水の沸点が上昇し、100度以上で茹でる事になるのがひとつと、
 細胞膜を強固にしているペクチン酸カルシウムのカルシウムと、
 食塩のナトリュウムが入れ替わるからであります。
 その反面、細胞膜が弱くなるので、組織がつぶれ、細胞の内部の成分が
 外に出やすくなるので、粉ふき芋には適しません。

肉を焼く時の塩
 食塩はタンパク質の凝固を早め。焼いた時タンパク質の壁が出来、
 内部のうま味の溶け出しを防ぐ事ができます。
 しかし塩をして長時間おくと、焼く前に汁が逃げ出てうま味が失われます。
 肉は焼く直前に塩をすると良いです。

塩味の増強と抑制
 汁粉や餡を作る時に、砂糖と共に少量の塩を加えると甘みを強く感じさせます。
 味の対比作用によるものです。スイカなどに少量の塩をつけると、
 増強作用で強く甘みを感じさせます。夏みかんに塩をつけると、
 酸味が大変まるくなります。しかし塩味の強さを和らげるために、
 甘みは役立ちません。塩味が強い時に砂糖を加えると、
 かえって嫌な塩味が増強される場合があるから注意を要します。

温度と塩味
 塩味は温度によって感じ方が変わります。
 温度が高くなる程舌への感じはにぶくなります。
 だから、冷やして供するスープの様な料理では、熱い時に塩味を整えると、
 冷えてから、非常に塩味の勝った味のスープになります。
 また逆に、冷えている時に塩味をつけ、
 これを温めて供すると塩味がうすく感じられます。

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☆ お知らせ

 ムッシュ米津の家庭料理のページでは
 『カニと卵のクリームコロッケ』の作り方を
 ご紹介しています。

 http://www.plaisirdelatable.jp/cooking/index.html

 冷凍のカニとゆで卵を使ってみました。小ぶりの俵型に揚げて、
 ご家庭では立派にメインディッシュの役がつとまります。

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 フランス料理に役立つ「フランス料理の食材・機材」では、
 料理に使っていただきたい最高の食材と機材をリンクで
 ご紹介しております。

 http://www.plaisirdelatable.jp/food/index.html

 今月は『天然ヒラメ』『本クエ』
 ご紹介しております。

こちらのコーナーも、ぜひご活用ください。

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