フランス料理博物館 プレジール・ドゥ・ラ・ターブル

Vol.32  2011年7月


ただ今、新しいパートナーの方々と、フランス料理博物館

plaisir de la table(プレジール・ドゥ・ラ・ターブル)の

内容の充実に取り組んでおります。

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皆様お元気ですか。暑い夏がやってきます。

フランスの共和歴では、7月下旬から8月中旬にかけて
「テルミドール」と呼ばれていました。

それで今日はそのお話をしましょう。

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◇テルミドール

フランス共和暦では、現在の7月20日から8月18日までを
テルミドール(熱月)と呼んでいました。
フランス古典料理のひとつに、

オマール海老のテルミドール風があります。
海老の殻に、身の角切りを詰め、ベルシーという白ソースをかけ、
チーズを振ってグラタンにした料理です。
我々が良くお目にかかる婚礼料理の定番とも云える、
伊勢海老の殻焼きのルーツです。

その考案者は、1894年1月24日、パリのストラスブール大通りと
サン・ドニ大通りの角にあった有名なレストラン<メール>で、
コメディ・フランセーズ劇場のこけら落としに上演された、
ヴィクトリアン・サルドゥの作<テルミドール革命暦の熱月
にかけて、新しく創作した料理をテルミドールと命名し、
ねらい通りに好評を博しました。

その後、やはり有名なカフェ・ド・パリの料理長
レオポルド・ムーリエとその後を継いだトニ・ジロ
この料理を不動のものとしました。
あつあつの海老のグラタンに、熱月、テルミドールという
名を付けたフランスの料理長、言い得て妙と云えましょう。

フランスの共和暦はフランス革命当時に制定され、
1793年、国民公会で採択された暦です。
1793年9月22日の共和制宣言の日を元年1月1日として起算、

秋は、葡萄月ヴァンデミエール・霧月ブリュメール・霜月フリメール。
冬は、雪月ニヴォーズ・雨月プリュヴィオーズ・風月ヴァントーズ。
春は、芽月ジェルミナル・花月フロレアル・牧草月プレリアル。
夏は、収穫月メスィドール・熱月テルミドール・果実月フリュクティドール。

以上の12月とし、そして、1月を30日にわけ、
5日を祝祭にあてました。
しかし長くは続かずに、1806年に廃止されました。
  
日本の陰暦の呼び名にも、

春は、睦月むつき、如月きさらぎ、弥生やよい。
夏は、卯月うづき、皐月さつき、水無月みなつき。
秋は、文月ふづき、葉月はづき、長月ながつき。
冬は、神無月かんなづき、霜月しもつき、師走しわす。

とその季節をあらわす優雅なものがあります。

ではオマール海老のテルミドールはどんな料理なので
しょうか。
海老を茹でて、縦半分に割った海老の身を取り出します。
大きなさいの目か、そぎ切りにして殻に戻します。
イギリスのマスタードを加えたソース・クリームを
海老の身全体にかけ、おろしチーズを振りかけて
オーブン焼きします。あつあつの海老のグラタンに、
熱月、テルミドールという名が付けられました。

シェフによっては、炒めたマッシュルームを加えたり、
ソースも工夫をして、ベルシ、モルネイなどのソースを
かけて仕上げることもあります。

ご家庭で出来るようにアレンジした
小海老のテルミドールをご紹介しましょう。

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小海老のテルミドール

 材料 2人前
 ・冷凍海老(10g/匹位のもの) 12匹
 ・マッシュルーム 40g
 ・塩・胡椒・バター
 ・フレンチマスタード 小さじ1/4杯(任意)
 ・すり卸したエダムチーズ 小さじ2杯
 ・ソース用
  −牛乳 200cc
  −ベイリーフ 1枚
  −生クリーム 50cc
 ・ブールマニエ
  −小麦粉 20g
  −バター 20g
 ・海老を煮る為に
  −水 400cc
  −砂糖 20g
  −塩 10g

 作り方

 1 海老を煮ます。水、塩、砂糖をなべに入れて煮立て、
   背わたを取った海老を入れます。再び煮上がってきてから
   1分間煮てざるにあけます。冷めてから殻をむいておきます。

 2 小麦粉にバターを小角切りして小鉢に入れ、電子レンジに
   20秒かけて、練り合わせ、ブールマニエを作ります。

 3 マッシュルームを洗って、二つ割りにしてから薄切りにし、
   ベイリーフと共にバターで炒めます。牛乳を加え、
   人肌くらいの温度にまで温め、ブールマニエを加えて
   混ぜながら煮立てます。
   ソースに濃度がついてきたら、火を弱くして、
   海老と生クリームを加えて、塩、胡椒で味を付け、
   火からおろして最後にマスタードを加えます。

 4 ベイリーフを取り除き、グラタン皿に均等に盛り、
   すり卸したチーズを振りかけ250度のオ−ブンで7〜8分間、
   美味しそうな焼き色がつき、中が熱くなるまで焼きます。
   レースペーパーを敷いたお皿に盛ります。

* 生クリームのないときは、その分量だけ牛乳を増やして下さい。
* 水、塩、砂糖で、海老を煮るのは、海老にしっかりと味を付ける
  為です。
* 小麦粉とバーターを練り合わせたものを、ブールマニエと云い、
  ソースの濃度をつける為に使用します。
* ベイリーフは月桂樹の葉を乾燥させたもので、お料理の香り付けに
  使用します。
* エダムチーズはオランダ産の半硬質のチーズです。
* グラタン皿は直径、上が14cm、底が11cmのものを使用しました。

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☆ お知らせ

 ムッシュ米津の家庭料理のページでは
ハモのムニエル』の作り方をご紹介しています。

 http://www.plaisirdelatable.jp/cooking/index.html

 夏祭りに欠かせない味、ハモをムニエルにして、
 トマトのフォンデュを添え、
 ちょっと豪華な一品に仕立ててみました。

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フランス料理に役立つ「フランス料理の食材・機材」では、
料理に使っていただきたい最高の食材と機材をリンクで
ご紹介しております。

 http://www.plaisirdelatable.jp/food/index.html

 今月は『鮑(あわび)』『水蜜桃』
 ご紹介しております。

こちらのコーナーも、ぜひご活用ください。

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