フランス料理博物館 プレジール・ドゥ・ラ・ターブル

Vol.26  2011年1月


ただ今、新しいパートナーの方々と、フランス料理博物館

plaisir de la table(プレジール・ドゥ・ラ・ターブル)の

内容の充実に取り組んでおります。

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明けましてお目出度うございます。
2011年も良い年でありますように、心よりお祈り申し上げます。


今日は、お祝い料理の花形、伊勢海老についてお話をしましょう。

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伊勢海老

車海老、芝海老、オマール海老など皆様がよく知っている
海老の内で、姿よし、味よしで、なんと云っても一番は
伊勢海老でしょうね。
お正月がくると、お飾り、お節料理の主役です。

伊勢海老は、暖海性で、日本、ハワイ、アフリカ東海岸など
広く太平洋、インド洋などに分布しています。
水深数メートルから十数メートルの岩礁の多い、直接暖流の
あたるところに生息しています。
日本では、千葉、神奈川、三重、和歌山、高知、宮崎、鹿児島の
各県がおもな産地で、日本海にはほとんどいません。
伊勢湾に特に多いところから伊勢海老の名が生まれました。

産卵期は、6月末から7月までで、その期間は禁漁になって
います。
普段は岩礁のの間に隠れていますが、夜にはエサを食べに出て
くるので、主としてサシ網で捕獲します。
伊勢海老の旬は、活発にエサを食べる10月から11月
かけてです。

和食、洋食、中華料理いずれの分野でも需要が多く、海老は
その形が、老人のように腰が曲がり、ひげの長いところから、
長寿のめでたいものとされていました。海老の字も、ここから
きているとされています。
このような理由もあり、祝宴の花形であります。
味がよい日本産のものだけでは需要がまかないきれず、
それに値段も安くないので、輸入の伊勢海老にたよる傾向が
多くあります。
日本産のものは甲羅が暗褐色で、茹でるときれいな赤に発色
します。輸入のものはオレンジ色に茹で上がります。
活きのよいものはお刺身にすると美味しく、また茹でて冷まし、
サラダや、マヨネーズかけにしたり、ホワイトソースで和えて
グラタンにすることもあります。

私の若かった頃は、大安吉日の朝のといえば、厨房には大鍋に
湯を沸かし、生きた伊勢海老を投げ込むように入れて茹であげます。
キイキイ音を立てながら茹でられる伊勢海老にとっては仏滅ですね。

厨房では、茹でて冷ました伊勢海老を二つ割りにして、左右身を
入れ替えます。殻についていた身の赤い方を表にし、頭のところに
マヨネーズを絞ったり、レモンの輪切りを添えて
伊勢海老の冷製 マヨネーズ添え」ができあがります。
シンプルですが、ご馳走で、美味しい料理です。

職業とはいえ、何百、何千匹の生きた伊勢海老を茹でるのですから、
海老供養をしなくてはと仲間と話し合ったものです。

子供の頃、釣り好きの父親に連れられていった千葉の海岸べりの
料理屋で、伊勢海老の鬼殻焼き、具足煮を食べさせられた記憶が
あり、その料理名の面白さと、海老の美味しさが忘られません。
フランス料理にも伊勢海老の殻に詰めてグラタンにした
テルミドール」という料理があります。
今日は小海老を使ってやってみましょう。

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家庭で出来るようにアレンジした  小海老のテルミドール

 材料 2人前
・冷凍海老 12匹(1匹10g位のもの)
・マッシュルーム 40g
・塩・胡椒・バター  
・フレンチマスタード 小匙1/4杯(任意)
・すり卸したエダムチーズ 小匙2杯
 ソース用
・牛乳 200cc
・ベイリーフ 1枚
・生クリーム 50cc
・ブールマニエ
(練りバター ソースに濃度をつけます)
 
・小麦粉 20g
・バター 20g
 海老を煮る為に
・水 400cc
・砂糖 20g
・塩 10g

 作り方

 1 海老を煮ます。水、塩、砂糖をなべに入れて煮立て、
   背わたを取った海老を入れます。
   再び煮上がってきてから1分間煮てざるにあけます。
   冷めてから殻をむきいておきます。

 2 小麦粉とバターの小角切り小鉢に入れ、電子レンジに
   20秒かけて、練り合わせて、ブールマニエを作ります。

 3 マッシュルームを洗って、二つ割りにしてから薄切りにし、
   ベイリーフと共にバターで炒めます。牛乳を加え、人肌
   くらいの温度にまで温め、ブールマニエを加えて混ぜながら
   煮立てます。
   ソースに濃度がついてきたら、火を弱くして、海老と
   生クリームを加えて、塩、胡椒で味を付け、最後に
   マスタードを加えます。

 4 ベイリーフを取り除き、グラタン皿に均等に盛り、
   すり卸したチーズを振りかけ、250度のオ−ブンで7〜8分間、
   美味しそうな焼き色がつき、中が熱くなるまで焼きます。
   レースペーパーを敷いたお皿に盛ります。

 * 生クリームのないときは、その分量だけ牛乳を増やして下さい。
 * 水、塩、砂糖で、海老を煮るのは、海老にしっかりと味を
   付ける為です。
 * 小麦粉とバーターを練り合わせたものを、ブールマニエと云い、
   ソースの濃度をつける為に使用します。
 * ベイリーフは月桂樹の葉を乾燥させたもので、お料理の香り
   付けに使用します。
 * エダムチーズはオランダ産の半硬質のチーズです。
 * グラタン皿は直径、上が14cm、底が11cmのものを使用しました。


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☆ お知らせ

 ムッシュ米津の家庭料理のページでは
チキンソテー マッシュルームソース』の作り方をご紹介しています。

 http://www.plaisirdelatable.jp/cooking/index.html

 香ばしくバターで焼いたトリ肉に、トリの肉汁と白ぶどう酒を
 煮詰めたソースをかけます。
 マッシュルームはフレッシュを使います。

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フランス料理に役立つ「フランス料理の食材・機材」では、
料理に使っていただきたい最高の食材と機材をリンクで
ご紹介しております。

 http://www.plaisirdelatable.jp/food/index.html

 今月は『伊勢海老』『オセアニアのプレ・サレ』
 ご紹介しております。

こちらのコーナーも、ぜひご活用ください。

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