フランス料理博物館 プレジール・ドゥ・ラ・ターブル

Vol.18  2010年5月


ただ今、新しいパートナーの方々と、フランス料理博物館

plaisir de la table(プレジール・ドゥ・ラ・ターブル)の

内容の充実に取り組んでおります。

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皆様お元気ですか

目に青葉、山ホトトギス 初がつお”などといって
初物で食卓をにぎわし、スーパーの野菜売り場には、
新ジャガが並べられる季節になりました。

今日は、ジャガ芋についてお話ししましょう。

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ジャガ芋

ジャガ芋は、フランス料理に使われる野菜のスーパースターです。
家庭でも、ポテトサラダ、フライドポテト、ポテトのコロッケなど
おなじみの多いものがあります。

ジャガ芋のスープで三兄弟とも云われるスープがあります。

それは”スープ ボーヌファーム”(気だての良い小母さんのスープ)です。
ジャガ芋とポロ葱(洋葱)の薄切りをバターで軽く炒めて、
水を加えて煮ます。塩、コショウで味付けをして、
生クリームを加えて仕上げます。家庭ではだしを使いません。
ジャガ芋と、ポロ葱の美味しさを、バター、生クリームで引き立てるのです。

次ぎに”ポタージュ パルマンティエ”。
パルマンティエ(後述)のポタージュは上記の”スープ ボーヌファーム”を
裏ごしした温かいスープです。

そして今では誰でも知っている”ヴィシソワーズ グラッセ”。
(ジャガ芋とポロ葱の冷たいスープ)です。
それは、”ポタージュ パルマンティエ”を冷やしたスープ。
考案者はアメリカのあるホテルのシェフ、ルイ・ディア氏によるもので、
暑い夏の日に、母が”スープ ボーヌファーム”に冷たい牛乳を入れて、
食べさせてくれた事を思い出しての発想でした。
ネーミングは、シェフはヴィシー地方の生まれだったので、
ヴィシー風の”という名前を付けました。
フランス料理の古典にはない、アメリカ生まれのフランス料理です。

ジャガ芋の原産地は、南アメリカ・アンデス山地で、古代インカ族が
栽培したのが始まりと云われます。
ナス科の多年草でその塊茎を食用にします。
英名はPotato ポテート
仏名をPomme de Terre ポーム・ド・テール(大地のリンゴ)といいます。

日本への伝来

慶長年間オランダ人が、ジャワから持ち込んだもので
その呼び名も”ジャガタライモ”と呼ばれました。
明治の初年、北海道の開拓により寒冷地最適の作物として、
川田男爵が、ジャガ芋の優良品種をアメリカから取り寄せ、
普及して現在に至っております。
植え付けは春早く行われ、夏には収穫されます。育成期間が短い割に、
収穫量が多いのが特徴です。

北海道のジャガ芋はなぜ美味しいのか

ジャガ芋の原産地は南アメリカのペルーからチリにかけてのアンデスの高原。
寒冷地なので季候のよく似た北海道が栽培に適していると云えます。
太陽の光と炭酸ガスで葉に蓄えられたエネルギーは、
夜、糖分となって地下のジャガ芋に移行しますが、
夜と昼との気温の差が大きい程、スムーズに移行していき、
塊茎にデンプンとして蓄えられます。
ジャガ芋は雨の少ない土地で完熟する事が出来、デンプン含有量が増加して
おいしくなります。
特に暑い気候では完熟出来ず、水っぽい芋になってしまいます。

フランスでのジャガ芋の栽培

昔は、ハンセン氏病と関係のある食品としてブザンソンの裁判所が
その栽培を禁止していました。

パリ北方のモンディディエの生まれで、軍隊の薬剤官で農学者であった
アントワーヌ・オーギュスタン・パルマンティエ(1737−1813)は、
7年戦争中ドイツで捕虜となり、同地でジャガ芋が食用になっていることを知り、
帰国後ルイ16世の認可を得てサーブロン(砂原の意味)で開墾を始め、
人々の期待に反して大成功をおさめました。

パルマンティエの計略

パルマンティエは、ジャガ芋畑の周囲に昼は近衛兵の見張りをおき、
夜を兵を撤収させ、油断しているふりをして、
夜間に畑あらしがジャガ芋を盗みに来て、食べるきっかけを作り、
普及の途につかせました。
   
パルマンティエは白い可憐なジャガ芋の花束を国王ルイ16世に献上し、
国王がその花を上着の襟にさすと、それを見た貴族たちの胸元は、
白いジャガ芋の花で飾られるのが大流行したとのことです。

その様なことから、ジャガ芋を使った多くの料理に彼の名前が付けられています。

さっきの話にでた、”スープ ボーヌファーム”の作り方です。

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スープ ボーヌファーム

 材料 4ー5人分
 ・ジャガ芋(メークイン) 400c
 ・ポロ葱         200c
 ・水           900t
 ・チキンの固形ス−プ     2個
 ・塩
 ・胡椒
 ・生クリーム       100t

 浮かしに:細長いロールパンの薄切りに、すりおろしたチーズを
      振りかけ、オーブントースターで軽く焼きます。
 作り方

 1 まずジャガ芋の皮を剥いて4つ割りにし、薄く切ります。
   ポロ葱は1a位の角切りにします。

 2 バタ−でポロ葱をしんなりなる迄炒めます。
   水、チキンの固形スープ、ジャガ芋を加え、野菜が柔かくなる迄煮ます。
   最後に塩、胡椒で味を付け、生クリームを入れてひと煮立ちさせます。

 3 ス−プを取り分け、チーズを振りかけて焼いたロールパンを浮かして
   すすめます。

 * このスープを裏ごしすると、”ポタージュ パルマンティエ”。そして
   それを冷やすと、”ヴィシソワーズ”になります。是非お試しください。
 * 日本では吸い物のだしの味になれています。
   水だけでなくチキンの固形スープで味だしをします。
 * すりおろしチーズはパルムサンか、エダムチーズがよいでしょう。

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☆ お知らせ

ムッシュ米津の家庭料理のページでは
『コック オー バン』の作り方をご紹介しています。

 http://www.plaisirdelatable.jp/cooking/index.html

 若ドリのもも肉を赤ぶどう酒で煮込みます。
 つけ合わせにはジャガイモの粉ふかし。
 クルトンも、ちょっと気取って飾ります。

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フランス料理に役立つ「フランス料理の食材・機材」では、
料理に使っていただきたい最高の食材と機材をリンクで
ご紹介しております。

 http://www.plaisirdelatable.jp/food/index.html

 今月は『明石天然穴子』『トレハ』をご紹介して
 おります。

こちらのコーナーも、ぜひご活用ください。

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