ムッシュ米津の家庭料理
チキンソテー マッシュルームソース

"香ばしくバターで焼いたトリ肉に、
トリの肉汁と白ぶどう酒を煮詰めたソースをかけます。
マッシュルームはフレッシュを使います。"


あたりまえのことだけど

ごくあたりまえのことなんですが、料理に一番大切なこと
おいしく」という発想だと思うんです。
どんなにアイデアがおもしろくても、凝った趣向でも、
おいしさが舌に残らなければ、悲しくなってしまいます。

私が、師匠の常原ムッシュから学んだのも、この点です。

ムッシュとの出会いは、昭和33年、
常原久弥氏は50代、私は27歳でした。
常原ムッシュの仕事は、基本に忠実です。
決して手抜きをなさらない。実にていねいです。
セオリーをしっかり頭に入れて、現場でくり返し、くり返してたしかめ、
さらに勉強して会得されたものです。
自分は弟子をとらない、仕事は自分で学びとるものだといわれます。
でも私はムッシュの弟子、自分でそう思っているだけならいいでしょうと
今日までついてきました。

若ドリのソテー。近ごろのトリ肉は水っぽくって、まずいと評判が
悪いのですが、ちょっと手をかけてやれば、こんなにおいしくなります。

フランス料理の正統派ソースで

ソテーは、日本語でいえば”いため焼き”という感じでしょうか。
少しぜいたくなのですが、フライパンにバターをペタペタ塗って、トリ肉をならべ
こんがりキツネ色に焼いたあと、フライパンの底や縁にこびりついた肉汁を、
白ぶどう酒で洗い落として、煮詰め、トリとぶどう酒のエッセンスみたいなものを
ソースに加えます。
たっぷりのバターでトリ肉をゆっくり、香ばしく焼いて、バターの美味しさを
しみこませると同時に、トリのうま味を逃がさないで
ソースに移す−−−フランス料理の正統派のソースの作り方です。

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ムッシュ米津の料理教室 チキンソテー マッシュルームソース

"チキンソテー マッシュルームソース" 作り方

 材料 4人前
  若トリもも肉 300g〜350gを2枚
(それぞれを四つに切ります)
  塩・コショウ
  バター
  マッシュルームソース
   −マッシュルーム 60g〜70g入り2パック
   −タマネギ 100g
   −完熟トマト 300g
   −水 200cc
   −固形スープ 2個
   −コーンスターチ 小さじ2杯
   −白ぶどう酒 200cc
   −バター  


☆ 作り方

  1. ソースを用意します
    マッシュルームの石づきを切って洗い、薄切りにします。
    タマネギをみじん切り、トマトの皮、種を除いて粗みじんに切ります。
    ソースなべにバター大さじ1杯を入れ、最初にタマネギとマッシュルームを
    いためます。
    トマトを入れ、水200cc,固形スープ2個を加え4〜5分煮て、味をなじませ、
    コーンスターチを同量の水で溶き入れ、濃度をつけます。

  2. 次にトリ肉の下ごしらえをしましょう。
    まずトリの皮を上にして、まな板に並べ、竹ぐしを4〜5本束にして持ち、
    できるだけまんべんなく突き刺します。
    最近のトリ肉は、60〜70度のお湯につけて、遠心分離機で羽をむしる
    ようですね。だから、どうしても皮の下に水分が残っているので、
    これをできる限り除いてしまいたいのです。
    乾いたふきんにトリ肉をならべ、上からもふきんをかぶせ、手のひらで
    押すようにして、トリの水気を切ります。

  3. トリ肉を焼きます(直径26cmのフライパンを使います)
    フライパン一面にやわらかく練ったバターをベタベタと塗りつけます。
    ほら、女性の方が顔にパックをなさるでしょう…ああいう感じです。
    ここに、塩、コショウをした、トリ肉を皮をしたにしてきっちりと
    ならべます。
    フライパンの直径より、ひとまわり小さくクッキングペーパーを切り、
    中央に小さな穴をあけ、うっすらとバターを塗ってから、
    トリ肉におおいかぶせます。落としぶたのようにするわけですね。
    このフライパンを火にかけ、やや強火で焼きます。コンロの火って
    どうしても手前の方が火のあたりが弱いですから、ときどきフライパンの
    柄をゆすって、トリ肉を移動させてやってください。こんがりキツネ色に
    なるまで焼き、裏を返します。身の方も焼いて、トリに火が通ったら、
    別に器にとりラップでおおい、保温しておきます。

  4. ここからがソース作りのポイントです。
    フライパンの焼き油を捨て、白ぶどう酒200ccを入れて火にかけ、
    底や縁に付着したトリの焼き汁をこそげ落とし、茶こしで漉して
    フライパンに戻します。
    フライパンを火にかけ、煮汁がシロップ状になるまで煮詰めます。
    酸味が消え、トリとぶどう酒のエッセンスみたいなものができます。
    ここに、先に作ったマッシュルーム入りのソースを入れて2〜3分間煮て、
    塩味を整えます、

  5. できあがったソースでトリ肉を温めます
    ソースを火にかけて熱くし、、冷めかかっているトリ肉を入れます。
    煮立つ直前、トリ肉が温まったところで火から下ろします。
    決してぐつぐつ煮ないことです。

  6. 盛りつけです。
    お皿にトリ肉を二切れずつ盛り、ソースを均等にかけます。
    つけ合わせは、ほうれん草のバターいため・スパゲッティ
    バターライス・粉ふきイモなどいかがですか。


このようにトリ肉を別に焼いておいて、食べる直前に熱いソースに入れて温める。
ぜひ、素材の味をよみがえらせる、あなたの腕前をひろうしてください。

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*マッシュルームですが、缶詰は使わないでください。
 フレッシュのマッシュルームは、日本料理のかつお節のように、
 西洋料理の味つけには欠かせないものなんです。
 ピラフなんかでも、全然味がちがいます。


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文・写真(イメージ写真)提供:ひかりのくに株式会社

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