plaisir de la table
プレジール・ドゥ・ラ・ターブル
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新鮮な魚が驚くほど高い日本では、ブイヤベースは贅沢な料理になってしまいました。ホテルでもブイヤベースは、特別メニューとしてお出ししています。
それだからこそ、我が家の大切なお客さまのもてなしに思い切ってブイヤベースを作ってみませんか。
ご馳走には肉料理という先入観を捨てて、魚料理の本当の美味しさをわかって頂きたいのです。
ブイヤベースと聞いただけで、地中海の陽光のきらめき、はじけるような人びとの笑い声、
潮の香が漂ってくるようですね。
南仏のカンヌ、ニース、マルセーユを訪れる人たちの楽しみの1つは各店自慢の魚料理を味わうこと。
ムール貝をワインやエシャロットで煮たマリニエール。
ヒメジと赤魚を、新鮮なウイキョウ、パセリ、オリーブオイルにつけて、包み焼きにしたパピヨート。
カレイのムニエルに、ニンニクをきかせたトマトやオリーブなどのソースをかけアンチョビを飾ったプロバンス風の料理もあります。
なかでもブイヤベースは、各店のそれぞれの料理人が秘伝の味を競い合います。
港町で水揚げを終えた漁師たちが、網に残った小魚や貝を大なべにぶち込んでごった煮にしたのが最初ともいわれています。
鍋の中で地中海そのものを煮込んだような魅力です。
アイオリは、にんにくを加えたオリーブ油ベースの乳化ソースです。
今回ご紹介したマルセーユ風ブイヤベースには、ニンニクを使っていません。
その代わりに、アイオリを添えて一緒に並べます。
ブイヤベースは、1人前ずつキャセロール(耐熱鍋)に取り分けて、火にかけ、熱々を食卓に出します。家族全員でテーブルを囲み、おいしい食事と会話を楽しんでください。
ブイヤベースのおいしい食べ方
エシャロット(仏:echalote)
ユリ科ネギ属の多年草。わけぎの近縁種。原産地は西アジア。
うす茶色の薄皮に包まれ、鶉の卵大に発達した鱗茎を食用にします。ソースやスープの味を高めるのに用いられます。日本の市場では、ラッキョウに似たものが販売されています。
ヒメジ(仏:goatfish)
ヒメジ科の魚。体はコイに似ていて美しい赤色のものが多く、日本全国に分布していますが、西日本にはことに多く見られます。雑魚として扱われることの多いヒメジですが、味の良い魚で、冬が旬。
ウイキョウ(仏:fenouil)
セリ科の植物の種子を原料とした香辛料。フランス語では、「fenouil=フヌイユ(英:フェンネル)」といいます。ヨーロッパ原産で、日本では岩手、長野で生産されます。
リキュール、パン、肉類の製品、特にブイヤベースには欠かせない香辛料。
ブイヤベース(仏:Bouillabaisse)
マルセーユのスープ仕立ての魚料理。アルキメデスやピタゴラスも好んだ、古代ギリシャからの魚のスープが発展したもの。19世紀、文学作品に多く登場した為に有名になった。7〜8人以上で食べることを理想としている。
語源は、「builli(沸騰した) abaisse(火を落とす)」、「baisse(安い魚)bouilli(茹でたもの)」とも云われます。
マリニエール(仏:Marinière)
海の魚や貝を白ワインで煮た料理に用いる表現。
ムール貝の煮汁を使ったソースなどをこう呼びます。
アイオリ(仏:Ailloli)
にんにくを加えたオリーブ油ベースの乳化ソースのこと。
プロヴァンス語の alet(にんにく)と oli(油)の合成語。
ステーキやサラダにも使えます。
※正しい発音は「アイヨリ」となるらしいのですが、厨房ではなまって「アイオリ」と呼んでいます。また、一般的にも、「アイオリ」として浸透しているようです。
参考文献:
フランス食の事典(日仏料理協会)
ヒメジ・ウイキョウは改訂食品辞典(真珠書院)
レシピ・写真:資料提供:ひかりのくに株式会社
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