ムッシュ米津の家庭料理
カニのクリームスープ
"カニの殻も脚も細かくたたきつぶして一緒に煮込み、
そのうま味をひき出して、スープに仕立てます。"
一皿のスープに手間をかけるぜいたく
北国の空に鉛色の雲がたれこめ、雪が舞う季節になると
カニがおいしくなります。
厳しい冬の海で育ったカニの身は、あくまで白く、むっちりと締まっていて、
ゆでてカクテルにしてもいいし、コロッケやグラタン、
あるいは大きくぶつ切りにしてブイヤベースに仕立てるのも豪快です。
小さいせこがにの身をほじくるのも、なかなか味わいがありますが、
むしろ、こういうのは胴も脚も細かくすりつぶして煮込むと、
深みのあるスープができます。
つなぎにご飯を入れて、とろりとした舌ざわり、ブランデーをきかせた風味。
一皿のスープにじっくり手間をかけるというぜいたくさが、ごちそうです。
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"カニのクリームスープ " 作り方
材料 4−5人分 |
せこがに(小)2匹 |
約300g |
ニンジン |
50g |
タマネギ |
150g |
白ぶどう酒 |
100cc |
トマトジュース |
200cc |
チキンブイヨン |
400cc |
※ブイヨンのない時は、 水400cc+チキンの固形スープ2個 |
冷やご飯 |
100g |
ベイリーフ |
1枚 |
牛乳 |
300-400cc |
生クリーム |
100cc |
ブランデー |
大さじ1杯 |
バター |
|
なめらかさを出す二度ごし
”なめらかさ”は、おいしさを測る一つの尺度と
いえるのではないでしょうか。
とくに日本人は絹ごし豆腐のなめらかさを舌で味わい、
理解できるほど敏感です。
素材の味と香りを逃がさないようにソースをこす。
じっくり長時間煮込んだスープをこす。
野菜や果物をつぶして裏ごしする。
西洋料理には、”こす”という作業が何度も入ってきます。
でも、家庭では大変ですね。
なかでも、このカニのクリームスープは、
殻も脚も細かくたたきつぶして、一緒に煮込み、
そのうま味を十二分に引き出して
スープに仕立てようというのですから、やっかいです。
あとで説明するように、粗い目と細かい目のこし網で
二度ごしをします。手間がかかるようでも、
この方が作業が楽ですし、材料に無駄もありません。
☆ 作り方
- カニの甲羅をあけると。胴の上、左右に灰色の細長い繊維質のようなものが
張りついています。まず、これを取り除いてください。
- 次ぎに、脚、胴ともにできるだけ細かく出刃包丁で切り割り、スープなべに入れて、
すりこぎでつきつぶします。
このなべにバター大さじ二杯を加え、強火でいためます。
細かく切ったニンジン、タマネギを入れてさらにいため、水気がすっかり蒸発したら、
ブランデー大さじ一杯を注ぎかけ、火をつけてアルコール分を燃やします。
これをフランベというのでしたね。
カニのくさみを除き、スープにブランデーの風味をつけてくれます。
- ついで白ぶどう酒、トマトジュース、チキンブイヨン、ベイリーフ、冷やご飯を入れ、
ふたをして、弱火で約30分間煮ます。
- 野菜とご飯が軟らかく煮崩れれたら、最初にあらい目こし網に通して、殻などを
ざっと取り除きます。
つぎに、もう一度細かい目のこし器に通して、なべに戻します。
スープの濃度を見ながら牛乳を加え、まだ濃いようなら、お湯を少し足します。
塩味をつけ、沸き上がったら、生クリームを入れて仕上げます。
いかがですか、とてもきめの細かいスープができたでしょう。
うっとうしい雨や雪に降りこめられて寒々とした気分の日でも、
時間と手間をかけたこんなスープが一皿、食卓に出たら、
ほんとうにうれしくなってしまいます。
甲殻類で作るスープをメニューの上で”ビスク”といいます。
語源はよくわからないのですが、カニの代わりにトビアラ
(ざこエビのこと、頭と殻付きです)を使用したら、エビのビスクが
できます。
このスープは濃度をつけるのに、お米をつかいます。
ほら、途中で冷やご飯いれましたでしょう。
カニ、エビののように繊細で、こわれやすい味には、
淡泊なつなぎのほうが主役をぐんと引き立ててくれるのです。
白米を乾燥させて粉にした”しん粉”をつかえば、
こすのは少し楽になります。
ここで、こし網のない時の作り方をお話ししましょう。
一度目は、パスタや野菜など茹でこぼす時に使う
柄付きの網を通して殻などを取り除きます。
次はジュースミキサーにかけて滑らかにします。
こうすればもう二度目のこしをしないで仕上がります。
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文・写真(イメージ写真)提供:ひかりのくに株式会社
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