ムッシュ米津の家庭料理
ベニエ

"野菜、トリのささ身、レバーなどに、泡立てた卵白の入った
衣をつけて揚げます。いわば洋風の天ぷらですね。"


日本の天ぷらにも似て

私の祖父はなかなか味にうるさいほうで
東京・浅草橋の屋台のてんぷらがうまいとか、
お寺参りのあとは、浅草の金田の鳥なべにしようかなんて。

この祖父の影響で、私は子供のくせに、おませな好みがつきました。
くさやの干物、たたみイワシ、ウナギも「脂の少ないめそっこがいい
などといったりしたものでした。

貝柱や小エビのかき揚げを、わざわざ有名なてんぷら屋で買ってきて
そのまま食べずに、ほうれん草と薄味のだして煮た
菜天”なんかも、なつかしい味です。

フランス料理の中でベニエというと、
日本のてんぷらの衣に似た生地をつけて揚げたものを指します。
てんぷらと違って、あらかじめ材料に火を通しておくこともあり、
卵白を泡立てて、その泡を消さないように衣に混ぜ込むのが特徴です。

おそらく主菜としてでなくて、あたたかいオードブルの分野で
工夫されてきたものだと思います。


∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽

のどの奥で季節の味と香りが

ベニエの材料には、魚の白子、カキ、季節の野菜のほか、
仔牛の脳髄や胸腺、足など、日ごろあまり見かけないもの
使われます。

牛一頭すみずみまで食べるという肉食文化から生まれたのか、
美食を追求してやまないフランス人の食精神がそうさせるのか。
でもまあ、家庭ではそこまでできませんので、身近にある材料で
やってみましょう。

カリフラワー、シイタケ、ナス、グリーンアスパラガス、ニンジン
といった野菜に、トリのささ身、レバー、エビ、コアユ、ホタテ貝など、
手に入るものを5−6品そろえてください。


"ベニエ  " 作り方

ムッシュ米津の料理教室 ベニエ
 材料 4人前
  カリフラワー(小分けしたもの) 4つ
  中ナスの輪切り 4枚
  グリーンアスパラガス 4本
  ニンジンの輪切り 4枚
  トリのささ身 2本
  チキンレバー 2羽分
  エビ 4匹
  小アユ 4本
  ホタテ貝(中) 4個
  白ぶどう酒
  サラダ油
  レモン汁
  ベイリーフ(月桂樹の葉)
  パセリの軸
  粒コショウ
  衣の生地
   −小麦粉(薄力粉) 130g
   −卵黄 2個
   −牛乳 180cc
   −サラダ油 大さじ2杯
   −卵白 2個
   −塩 ひとつまみ

☆ 作り方

  1. 下ごしらえです。
    カリフラワーを少しかたいめに塩ゆでします。
    グリーンアスパラガスも塩ゆで。
    ナスは皮付きのまま5−6ミリの厚さに切り、これは茹でません。
    ニンジンは7−8ミリの輪切りにして、バター煮にしておきましょう
    (塩ゆででも結構です)。
    鶏のささ身はそぎ開き、食べやすい大きさに切り、
    レバーも厚いところは二枚にそぎ切りにします。
    エビの殻をむき、背わたを除いて、腹に斜めに包丁目を入れておきます。
    小アユはそのままです。
    ホタテ貝は2−3枚にそぎ切りにし、さっと白ぶどう酒煮にします。
     

  2. 下ごしらえの出来た材料をバットに入れ、サラダ油を全体にまぶし、
    レモンの絞り汁をふりかけます。ベイリーフ、パセリの軸、
    あれば粒コショウをひいて散らし、3−4時間置きます。
     

  3. その間に衣の生地を作ってください。
    まず小麦粉をふるってボウルに入れます。
    中央をくぼませて、卵黄、サラダ油、牛乳を少量、塩ひとつまみを
    入れて混ぜ合わせ、残りの牛乳を少しずつ足して、滑らかな生地を作り、
    冷蔵庫で一時間ほど休ませておきます。
     

  4. 揚げる用意をします。
    乾いたふきんの上に、漬けておいた材料をのせて、油気を切り、
    ごく軽く塩、コショウをします。
    揚げ油を160−170度に熱します。

  5. 卵白を泡立てて、冷蔵庫から出した生地に、泡をつぶさないように
    そっと、手早く、木しゃもじ混ぜ込んで衣を作ります。
    下ごしらえしておいたそれぞれの材料に、この衣をつけて、
    てんぷらと同じような要領で揚げていきます。
     

  6. この衣は、卵白が入っていて軽く、色付きやすいですから、
    あまり長く油につけていると、揚げすぎて焦げてしまいます。
    揚げる材料は、早く揚がるような厚さ、大きさに切るようにしてください。
    揚げ時間は、だいたいい2−3分間、というところでしょうか。

揚げ物のコツ大きめのなべ 〜そうですね。おでんを
煮るようななべでも、揚げる量の多い時にはいいでしょう。〜 
それに、たっぷりめの油を入れて、油の表面の広さの
二分の一から、三分の二くらいに材料を入れることです。

ああ、それから、お菓子づくりをなさる方はよくごぞんじでしょうが、
卵白の泡は油気をとても嫌いますね。ボウルも、泡立て器も
使う前にせっけんで洗い、水ですすいで、良く水気を切っておいて下さい。

ベニエは塩とレモンだけで、さっぱりといただけますが、
好みでパセリのから揚げ、トマトソースを添えます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

パセリのから揚げ

水洗いし、茎から摘みとったパセリの葉を
乾いたふきんに包んでよく水気を切ります。
中温の油にパセリを入れます。初め、ぱあっと泡が立ち、
ハシでかき混ぜるとだんだん泡が小さくなって、からりとしてきます。
油こしにあげてよく油を切り、軽く塩をふります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

トマトソース

 材料 出来上がり約500t
  トマトジュース 400cc
  生のトマト 400g
  固形スープ 2個
  ニンニク 1片
  コーンスターチ 小さじ2杯
  コショウ 少量
  砂糖

☆ 作り方

  1. トマトの皮をむき、種を取りのぞいて、粗みじんに切ります。
  2. 固形スープ、トマトジュース、皮をむいてつぶしたニンニクを
    トマトと共になべに入れ、火にかけます。
  3. 煮立ってきたら、弱火にして、6−7分間トマトが煮くずれる
    まで煮ます。
  4. 次ぎに漉しあみで漉します。(漉さないでもかまいません。)
  5. ソースを火に戻し、漉さない場合はそのまま、コショウを入れ、
    酸味が気になるようなら砂糖をひとつまみ入れます。
  6. 同量の水で溶いたコーンスターチを入れて濃度をつけます。
* 仕上げに、バター大さじ1杯と加えて混ぜると味に深みが出ます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さあ、いかがですか。とくに野菜のベニエがなかなかいけますでしょう。

卵白を泡立てた衣にやさしく包まれて、のどの奥のほうで
季節の味と香りがゆっくり広がるみたいではありませんか。



∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽


文・写真(イメージ写真)提供:ひかりのくに株式会社

ホーム > ムッシュ米津の家庭料理 > ベニエ