plaisir de la table
プレジール・ドゥ・ラ・ターブル
![]() |
お祝い事やお客さまのある時、あるいはお父さんが台所に立つ日、
「一寸奮発してステーキに」と思っても、なかなか上手く焼けないようですね。
せっかく上等のお肉を買ったのにと悔しさが残って、かえって惨めな食卓になった経験をおもちではありませんか。
上手に火が使える様になれば、一人前です。料理するものの量、性質を見極めて、火加減する細かい神経を必要とします。コックでも、料理をする後ろ姿を見ていて、すぐにわかります。火の扱いに無神経なものは上達しません。
ステーキは炭火、それも備長の堅炭で焼くのが一番とされています。鉄のフライパンでは、肉の表面にどうしても焼き縮ができるのですが、炭火の場合は全体がふっくらした感じに焼けます。以前、測ってもらったら、熱源で800度もありました。いわゆる、強火の遠火で焼くわけです。
美しい霜降り状のさし脂ののった完熟牛は、肉質が柔らかく、火の通りが早いので、焼き過ぎに注意しましょう。
焼く30分ほど前に、肉を冷蔵庫から出して、室温に馴染ませておきます。
塩、コショウは焼く直前にします。
それから、大事なことは、ステーキ肉に包丁目をチョンチョンと入れることがありますが、絶対にしないで下さい。これは肉の端のほうにある筋を切って、焼いた時にそり返らない様にするのが目的ですが、ステーキ用の肉は筋を取ってありますので、その必要がないどころか、包丁を入れると、焼いている途中で、せっかくの美味しい肉汁が逃げてしまいます。
ステーキを焼くのは、備長の堅炭がいいといっても、家庭ではとても望めませんので、フライパンで上手に焼く工夫を考えてみましょう。
肉は、肩に近いリブ・ロース、腰よりのサーロイン、骨の内側に付いている柔らかいヒレ、それに腰のランプ、このあたりがステーキとして上等の部に入ります。
一切れ120〜150g、リブロースを薄切りにしたミニッツステーキなら180〜200gが手頃です。
フライパンはなるべく厚手の、保温力の良いものを使ってください。
焼き脂には、すき焼き用の牛肉を買う時に付けてくれる白い脂を使います。サラダ油では風味が足りないし、バターだけでは焦げやすくなります。
フライパンを熱くして脂を入れて溶かします。
盛りつけるとき、表になるほうから肉を入れ、初め強火で、表面に焼き壁を作ります。
薄いステーキなら、そのまま裏返せばいいのですが、肉が厚ければ、一度火を弱めて少し待ち、裏返すとき再び火を強めます。
裏返したら、もう一度火を弱くして血の浮かびあがる具合を目安にします。
表面にうっすら血がにじんできた状態が中焼きのミディアム。
生焼けのレアが好みの方は、それより早くお皿に取ってください。
血がすっかり出て、肉を押しても弾力がなくなると、中まで火の通ったウェルダンです。
しかし、ステーキも焼きたて、ポテトも揚げたてを並べるタイミングが難しいです。
そこでポテトを下揚げしておきます。
これなら料理した人も急いで食卓に座れば、自分もまあまあのステーキが食べられて、少なくとも熱々のフライドポテトを楽しめます。
なお、ステーキはお肉が良ければ、フレンチマスタードか、塩くらいで召し上がるのがいいですが、香味バターを用意しておいたら、いっそうおいしく頂けます。
レモン入りのブール・メートルドテル、訳せば給仕長のバター。給仕長がテーブルのそばで簡単に作れるから、こんな名前がついたのでしょうか。
からしバター・ハーブバターも作り方は同じです。
材料に入っているタイム、マジョラム、バジルはいずれもシソ科の植物、良い香りがします。
文・写真(イメージ写真)提供:ひかりのくに株式会社
ホーム > ムッシュ米津の家庭料理 > ビーフステーキ